最近、知り合いのライターさんから、これからポートフォリオや仕事募集など、仕事に関する情報発信を始めるにあたってどうしたらよいかアドバイスがほしいと言われまして、ブログサービスの相談に乗ってきました。
2024年時点でのブログ系(テキストと画像を中心に情報発信するメディア)メディアは何がよいか、以下のようにアドバイスしました。
何を書いたら良いのか
ご相談頂いた方はある程度固まっていたようなので、こういうことを書いたらいいんじゃない?ということは特別には言わなかったのですけれど、ライター的にはこんな考え方もあるよね、というアドバイスを。
これまでの執筆実績のポートフォリオ
これまでこういうものを書きましたよ!という実績をブログにまとめておくのはひとつの手段ですよね、ということを伝えました。
ポートフォリオの作り方は人それぞれなんですよね。noteに作られている方もいらっしゃいますし、静的なWebページに作られている方もいらっしゃいます。
ブログに「2024年○月の執筆実績」みたいな記事を書いてカテゴリーでまとめている方もいらっしゃいます。
僕の場合は固定ページに、代表的な記事を掲載しておくことで絞り込んでいます。
こういう過去の実績を表示する場を、ブログでもnoteでも持っておくといいよ、ということをお伝えしました。
これから自分が書きたい記事ジャンル
また、これからこういうジャンルの記事を書きたい!という関連の内容をブログとして書き綴ることをお伝えしました。
ブログやnote経由で執筆のお仕事を頂くことが珍しくない昨今ですから、そういう記事を書き溜めておけばアピールになる可能性が広がります。
すでに実績となっているほどの領域は公開された記事で伝えやすいものですが、これから書きたいものに関しては意気込みだけになりがちです。そんなときに「自分メディア」にのびのびと書いておけば、その対象に対する愛・のめり込みも伝えつつ、ライターとしての力量が発揮できる文章構成を伝えることができます。より相手に伝わりやすくなるでしょう。
「私、こんな仕事したいんです。ブログにはこういうふうに書いているんで、ぜひ読んでみてください!」
こんなアピールができるようになりますからね。そのURLやまとめページをQRコード化しておいて、いつでも相手に見せられるようにしておくと更にアピール度が高まるのではないでしょうか。
ボツになったけれど愛情のある企画・記事の書き場にもなる
この仕事をしていれば企画を提出してボツになるなんて、誰でも経験しているものです。そんなボツになった企画でも自分の中では超イケてる!と思うなら、ブログに書いちゃえばいいですよね、というお話をしました。
ブログは自分メディアです。編集長もライターもカメラマンも営業も自分。だから、自分が書きたいものは全部書いちゃって良いのです。
以上のようなお話で、書く内容についてはおよそ理解してもらえました。
ブログはマネタイズの道具にあらず
相談者の方が
「ブログに広告を張って収益になれば、ライターとして何かしら活動が少なかったときの助けになるかも」
ということをおっしゃっていました。はい。まったくもってその通りです。そうなんですが、ブログに対するマネタイズについては猛烈な逆風状態であり、2024年時点で情報発信者が運営するブログとしてマネタイズに重きを置くのはオススメできません。YouTubeも広告収入は減ってきていると聞きますが、それでもまだ、ブログ系のメディアよりも動画系メディアの方に広告が流れているのは事実。
自分のメディアを収益源として捉えたい
のであれば、動画に着手した方がよいのではないでしょうか。
もしブログが「稼げる」ようになったら、多少更新しなくてもお金を運んでくれる状況も作れるでしょう。それは先行きがどうなるか分からないライターさんの保険としても機能するかもしれません。現在は難しいですけれど。
また、ブログのマネタイズという観点でみたら広告を貼り付けるだけではない、というお話も少ししました。
- ブログのアドバイスやコンサルティングをする
- ブログきっかけで執筆依頼を受け、外部媒体に文章を書く
- ブロガーイベントに呼ばれ、講演料を頂く
- ポートフォリオとして活用することで、広告宣伝的に活用
これらすべて僕は「ブログのマネタイズ」に含まれると思っています。今が広告収入だけを考えているのであれば、可能性はいろいろ広がって行くでしょう。
どのブログエンジン・サービスで書いたら良いのか
どうせ運用するならしっかりとした運用にしよう、と想定した上で絞りました。
1:独自で構築するタイプ
WordPressやMovableTypeのような自分で環境を構築して運用していくもののことです。
主に
- 自分でドメインを取得する
- 自分でレンタルサーバーを借りる
- CMSを構築し、広告設定やSNSとの連携をする
手順を踏んで構築していきます。
このメリットは以下のようなものが挙げられます。
- すべて自分で契約・管理するので環境を完全に掌握できる
- ドメインを所有しているため、記事に対するアクセスも半永久的
- 同じドメイン下で、様々なサービスを展開可能
- CMSの運営からWeb関連技術を学べるので、仕事の幅が広がるかも
といったところでしょうか。僕の場合であれば、odaiji.comというドメインを自分で持っているので、将来その気になれば、このドメイン配下でネットショップを展開できる可能性もあるわけですね。そうした自由があります。
ライター業をしているならば、CMSへの入稿をライター側で行なうことで、単価アップ・評価アップの交渉材料になり得ます。Webメディア運営のあれこれを理解しておけば、依頼者側に建設的なアドバイス・質問もできますし、良好な関係を築きやすくなるでしょう。
デメリットとしては
- ブログメディア運営の全般的な知識が求められる
- セキュリティ面の管理なども自分で行なう
- 情報発信に集中しづらい
- 根本的に無料で始めるのは無理
といったことが挙げられるでしょう。ブログの成功(成功の定義はいろいろありますが)の秘訣は良いコンテンツをたくさん作ることだと思うので、コンテンツ作りに集中できないのは、ブログ運営の初心者にとってはデメリットです。
2:自由度の高いブログサービスを活用
ライブドアブログやはてなブログのような、独自ドメイン下で自分メディアを展開しつつも、運営会社がサーバーなどの管理をしてくれるものを活用する案です。
ライターさんとしてコンテンツの制作に集中したいのであれば、ライブドアブログ・はてなブログのようなサーバー周りが管理された環境は良いのではないですか?というお話をしました。両ブログサービスとも基本的には無料で使用でき、独自ドメインとの連携などには有料のオプション契約をする必要があります。
こうしたサービスにはライブドアブログ・はてなブログの他、WordPress.comや、note(独自ドメインを使える契約は月額80,000円と個人で契約する価格帯ではない)があります。
1と最も異なるメリットは、レンタルサーバーの契約が必要なく、CMSの構築・運用も基本的に必要がなくなることです。サーバー運営から離れられるので、コンテンツ発信に注力しやすくなります。
デメリットそていは、コンテンツの自由度が狭まることです。
これらのサービスは利用規約に則った運用が求められるため、
- 性や暴力などの表現に法律より厳しい限界がある
- 自分が書いた文章・掲載した写真が運営会社の広報的な目的で使われるケースがある。使われ方は各社の利用規約次第
といった制約が生まれます。こうした状況が飲めるかどうかは判断の必要がありますね。
更に、まったくオリジナリティ溢れるデザインにしたいと思う方にとっては、Webデザインの自由度は決して高くないと思った方が良いでしょう。ある程度、サービスが提供する仕組みに則ってデザインを決めるのが良いですし、そこを割り切れる人が使いやすい形態です。
3:無料のサービスをフル活用
2で紹介したサービスも無料の範囲があるので、それを活用して情報発信をはじめるのが、もっともスモールスタートしやすいです。上に紹介したものに加え、アメブロなども含まれてきます。
無料サービスで展開されているサービスについては以下のようなメリットがあります。
- 月額コストをかけずに運用できる
- コンテンツ制作以外のほとんどは運営会社任せ
- サービス自体がSNS的な要素を持ち、利用者同士の交流・アクセスを促進できる
一方、2で挙げたデメリットが以下のように更に大きくなるでしょう。
- サービス停止時にデータをダウンロードしないと書きためたモノが失われる
- 利用規約のしばりが大きいケースもある
- 広告に関する自由度が小さい
これらのバランスを取って利用サービスを決めないといけませんね。
更新環境は整っている
各サービスとも、更新環境は成熟しています。ブラウザーから管理・更新するのは簡単ですし、たいがいのサービスはスマートフォン用アプリがあるので、外出先からコンテンツ制作をするのも敷居は低いです。
スマートフォンのアプリで、画像を加工したり、効率良く文字を入力したり、ネタを探したりするものもたくさん出ています。組み合わせていくことで執筆を効率化できるでしょう。
拡散は、原則自力で
アメブロ・はてなブログ・ライブドアブログ・noteなどは、同じサービスを使っている別のユーザーがどんな記事を投稿しているのか、分かりやすく表示してくれます。また、管理者が良い記事をピックアップして紹介してくれることで、アクセスを爆発的に伸ばせる可能性があります。
ただし、ライターとして実績を世間にアピールするには、閉じられたサービスの中だけで活動していても仕方ありません。
ブログの記事更新をブログ・ブログサービスとは異なるSNSで告知出来る仕組みがあると良いですね。
記事更新をした際に、X(旧Twitter)やInstagramなどで告知すること。そして、それを続けること。こうした積み重ねで少しずつ外部の利用者への認知が高まっていきます。
こうしたSNS運用は、ブログメディア運営とはまた異なる要素になってきます。
良いスタートを切ってほしい
ご相談頂いた方がWebでライターをされているため、超基本的なことをお話する必要はなかったんですね。こんな事をざっとお話して理解をしてもらえたようです。
- 最初から覚悟してしっかり環境を作る
- 最初はお試し感もあるから簡単・低コストなところから始める
これは人それぞれだと思います。まったく分からないひとには僕から答えをあげるべきでしょうけれど、何かしらわかっている方には、僕からは選択肢とその特徴だけを伝え、自分で決めてもらうのが納得感も出るんじゃないかなと思っています。
これからその人が良いブログを立ち上げてくれたらアドバイスした者としては嬉しいことこの上ありません。
相談、乗りますよ
以上を踏まえてライターさんがブログ系のメディアで情報発信を始めるなら
- 軽く始めるならnote(3)
- Webの知識を高めつつしっかりやるなら独自ドメイン+レンタルサーバー(1)
をオススメします。どちらにしてもこれからライターが始めるブログという位置づけの中で、広告などで直接的に利益を得ようとすることはオススメできません。
そんなこんなでご相談に乗らせて頂いたというお話です。
ブログを始めるのに今更、といったことはありません。始めたい時が始めどきです。
ライターあるある的なところも含めてお話を理解しやすいと思うので、ブログを始めたいライターさん、ブログを始めたい他業種の方、よかったらご相談くださいませ。