ゴールデンウィークや夏の旅行に向けてバッテリーを準備している方は、手元の製品を一度確認してみてください。
2026年4月24日付で、エレコムが販売している「ナトリウムイオン電池モバイルバッテリー」と「ナトリウムイオン電池搭載 ハンディファン」が、機内への持ち込みおよびお預けともに不可となりました。エレコムは4月28日に公式お詫びと注意喚起を出しています。
「機内持ち込み対応」と書かれたパッケージで購入した方も対象です。空港の保安検査で破棄・没収となる恐れがあるため、対象製品をお持ちの方は飛行機に持っていかないようご注意ください。
何が変わったのか
2026年4月24日、国土交通省 航空局が「機内への持込み又はお預け手荷物に制限がある品目の代表例」を更新し、新たに**「ナトリウムイオン電池(ナトリウムイオン電池を内蔵したモバイルバッテリー含む)」**が、機内への持ち込み・航空会社へのお預けともに不可として明記されました。
同じ4月24日には、リチウムイオン電池モバイルバッテリーについての新ルールも施行されています。「1人2個まで」「機内での充電禁止」というニュースを目にした方も多いと思いますが、こちらはリチウムイオン電池についての話。ナトリウムイオン電池の全面禁止とは別の話なので、混同しないようご注意ください。
今回の変更は、ICAO(国際民間航空機関)が2026年3月27日に国際基準を緊急改訂し、即日適用されたことを受けたものです。日本では国土交通省が4月24日付で国内ルールに反映しました。国際基準の緊急改訂から国内施行まで1ヶ月足らずというスピードで進んだ規制変更で、メーカー側に対応の猶予はほとんどありませんでした。
対象となるエレコム製品【全9型番】
エレコムが対象としているのは、ナトリウムイオン電池を搭載した3シリーズ・計9型番です。
ナトリウムイオン電池モバイルバッテリー
- DE-C55L-9000BK(ブラック)
- DE-C55L-9000LGY(ライトグレー)
- EC-C27LBK
ナトリウムイオン電池搭載 ハンディファン 冷却プレート付き
- FAN-U264BE
- FAN-U264GN
- FAN-U264WH
ナトリウムイオン電池搭載 コンパクトハンディファン
- FAN-U265BK
- FAN-U265GN
- FAN-U265WH
パッケージや製品本体に「機内持ち込み対応」と記載されているものでも、4月24日以降は持ち込み・お預けともに不可です。エレコムは公式サイトの表記を順次修正中とのことですが、市場流通品では旧パッケージ(「航空機内持ち込みOK」記載あり)と新パッケージが一時的に混在する可能性があります。最新のご案内はエレコムのお知らせが優先されます。
【考察】なぜナトリウムイオン電池だけ全面禁止になったのか
【ご注意】このセクションは公式情報ではありません
国土交通省およびICAOから、ナトリウムイオン電池が全面禁止になった具体的な技術的理由を説明する公式資料は、本記事の執筆時点では確認できませんでした。以下は、関連情報をもとに筆者が推測した内容です。確定的な事実としてお読みにならないようお願いします。
ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池と比較して熱暴走が起こりにくく、発火しにくい特性が知られています。それなのに、なぜリチウムイオンよりも厳しい「全面禁止」という扱いになったのでしょうか。あくまで筆者の見立てですが、以下のような構図が考えられます。
今回のルール改訂は、ICAO(国際民間航空機関)の国際基準改訂を国内法に反映したものです。ICAOの危険物技術指針(Doc 9284)はもともとリチウム電池を念頭に作られているため、リチウムイオン電池には「ワット時定格量160Wh以下なら持ち込み可」といった具体的な基準が定められています。
一方、ナトリウムイオン電池は近年実用化された新しい技術で、国際的なリスク評価がまだ十分に蓄積されていない段階です。日本の電気用品安全法(PSE)も現時点ではナトリウムイオン電池を想定した基準を持っておらず、エレコムの該当製品もPSEマークは未取得です(MONOistの2025年3月の報道では、PSEマーク取得には2〜3年かかる見込みとされていました)。
こうした「基準が未確立」という状況下では、航空輸送のように安全性を最優先する場面で「リスク評価が確立するまでは制限する」という判断になりやすいのではないかと推測します。つまり「危険だから禁止」ではなく、「現時点では評価基準が整っていないから禁止」という性質の規制である可能性があります。
繰り返しになりますが、上記はあくまで筆者の推測です。ナトリウムイオン電池が全面禁止となった正確な理由については、国土交通省または航空会社にご確認ください。
ナトリウムイオン電池とは何だったのか(経緯のおさらい)
エレコムが2025年3月、「世界初」のナトリウムイオン電池モバイルバッテリーとして発売したのが、今回の対象製品「DE-C55L-9000」シリーズです。
訴求軸は大きく分けて以下のようなものでした。
- 環境配慮(コバルト・リチウムなどのレアメタルを使用しない)
- 安全性(熱暴走しにくく、釘刺し試験でも発火しにくい)
- 長寿命(リチウムイオン電池の約10倍にあたる5,000サイクル)
- 広い動作温度範囲(マイナス35℃〜50℃)
発売直後から注目を集め、エレコム自身が「想定の3倍売れた」と日経の取材に答えるほどの人気商品となりました。価格.comのモバイルバッテリーランキングでもベスト10圏内に入る人気商品でした。パッケージや一部商品ページには「機内持ち込み対応」表記もありました。
販売開始時点(2025年3月)では、ナトリウムイオン電池モバイルバッテリーは航空ルール上も問題なく機内に持ち込める製品でした。エレコムが製品ページやパッケージに「機内持ち込み対応」と記載していたのも、当時の航空ルールに照らせば正確な情報です。今回の状況は、国際基準が後から変わったために、合法的に販売・購入されていた製品が事後的に持ち込み不可になった、という性質のものです。
手元の製品がナトリウムイオン電池かどうかの確認方法
「自分のモバイルバッテリーって、ナトリウムイオン電池だったかな?」と不安になった方のために、確認方法をまとめます。
まずは製品本体・パッケージの表記をチェック。「ナトリウムイオン電池」「Sodium-ion」といった記載があるかどうか確認してください。次に、上記のエレコム9型番リストと型番を照合します。型番は製品本体の裏側やパッケージに記載されています。
それでも判断がつかない場合は、エレコムお客様相談室(フリーダイヤル:0120-502-501/受付時間:平日10:00〜18:00)に問い合わせるのが確実です。
なお、筆者が確認した範囲では、ナトリウムイオン電池を搭載したモバイルバッテリーはエレコム製品が中心です。ハンディファンも同様で、ナトリウムイオン電池を搭載した製品は限定的。「うちのモバイルバッテリーは大丈夫かな?」と漠然と不安になっている方の多くは、おそらくリチウムイオン電池を搭載した製品なので、ナトリウムイオン電池の全面禁止ルールには該当しないと思われます。
日常使用は問題ない/処分・買い替えの考え方
製品自体は電気用品安全法(PSE)の技術基準に適合し、5つの保護機能と24時間温度監視(Thermal Protection)を備えた設計になっています。エレコム公式も「日常生活における通常のご使用において安全性に問題はない」と明言しており、飛行機に持ち込まない限り、これまで通り安心して使えます。
そのため、対応方針は人によって変わってきます。
飛行機に乗らない方や、出張・旅行で使う予定のない方は、これまで通り使用できます。約5,000サイクルの長寿命は健在ですし、マイナス35℃から50℃という動作温度範囲も変わっていません。冬のアウトドアや寒冷地での使用には、むしろリチウムイオン電池より適した特性を持っています。
旅行で持っていきたい方は、別のモバイルバッテリーへの買い替えが必要です。次の章で、現在の航空ルールに対応した選択肢を整理します。
廃棄する場合は注意が必要です。ナトリウムイオン電池はJBRC(一般社団法人JBRC=小型充電式電池のリサイクルを行う団体)の回収対象に含まれていません。捨てる際は自治体に問い合わせるか、エレコムに引き取りを依頼する必要があります。詳しくはMONOistの解説記事をご参照ください。
旅行用のモバイルバッテリーをどう選ぶか
買い替えを検討される方のために、4月24日から施行されたリチウムイオン電池モバイルバッテリーの新ルールも整理しておきます。冒頭でも触れたとおり、こちらはナトリウムイオン電池とは別の話です。混同しないよう注意してください。
リチウムイオン電池モバイルバッテリーの新ルールはこんな内容です。
- 機内持ち込みは1人2個まで(160Wh以下のものに限る)
- 機内でのモバイルバッテリー本体への充電は禁止
- モバイルバッテリーから他の電子機器への充電も禁止
- 預け入れは引き続き不可(従来通り)
「160Wh以下」のWh(ワットアワー)は、容量(mAh)×電圧(V)÷1000で計算できます。一般的なモバイルバッテリーの電圧は3.7Vなので、43,000mAh以下であればおおむね160Whに収まる目安です。市販されている10,000mAh〜20,000mAhクラスの製品であれば、容量制限に引っかかることはまずありません。
リチウムイオン電池の新ルールについては、別記事「モバイルバッテリーの機内持込みルールが変わります【2026年4月24日から】」で詳しく解説しています。航空会社ごとの対応の違いについては、「モバイルバッテリー新ルール、航空12社の対応を全部調べてわかったこと」もあわせてご覧ください。
なお、リチウムイオン電池以外の選択肢も増えています。準固体(半固体)電池を採用した製品や、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池を採用した製品も登場しており、エレコム自身も2026年3月に準固体モデル「DE-C86-10000BK」を発売しています。安全性を重視する方は、こうした次世代電池採用モデルも候補に入れて検討してみてください。
ポイントの整理
最後に、対応のポイントを整理します。
- 手持ちのモバイルバッテリー・ハンディファンの型番をチェックする
- 該当する場合は、空港に持っていかない(保安検査で破棄・没収される可能性あり)
- 日常使用は引き続き問題なし
- 旅行用に新しく買い替える場合は、リチウムイオン電池の新ルール(2個まで・機内充電禁止)も確認する
- パッケージの「機内持ち込み対応」表記は4月24日以降無効
今回の規制変更は、ICAO国際基準の緊急改訂を受けた行政ルールの更新です。エレコムは速やかに公式アナウンスを出し、対応を進めています。手元の製品は日常使用には問題ないため、空港に持っていかないことだけ覚えておけば大丈夫です。
旅行シーズンを前に、お手元の製品を一度チェックしてみてくださいね。
関連記事
モバイルバッテリーの機内持ち込みルールについて、当ブログでは他にも記事を書いています。
- モバイルバッテリーの機内持込みルールが変わります【2026年4月24日から】 - リチウムイオン電池の新ルール(1人2個まで・機内充電禁止)の詳細解説。Wh計算方法や予備電池との組み合わせ表も掲載。
- モバイルバッテリー新ルール、航空12社の対応を全部調べてわかったこと - JAL・ANA・Peachなど主要航空会社12社の告知状況・梱包ルール・申告方法を一覧で比較。