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良い写真を納品するために 初心者ライターが撮影するときのコツ

2024年11月8日

フリーライターも、Webメディア向けの編集者もしている中で、(プロのカメラマンでない人が)写真を撮るって、改めて難しいことだなと感じます。
昔に比べて、カメラの性能は上がりました。スマートフォンの標準アプリでも、デジタルカメラのプログラムモード(シャッター速度も絞りもカメラ任せで、あとは撮るだけのモード)でも、手振れさえしなければ大きな失敗はほとんどなく、しっかり構えてそっとシャッターを押せば、何かしらキレイに写せるようになっている時代です。特に、せいぜい横1280とか1600とかで見るくらいのWeb上のメディアであれば、及第点の画質の写真は量産できるようになっています。

ただし、写真の内容は別。いくら画質が良くても、何を写せたか、がうまくなければまったく良い写真にはなりません。ピントもばっちり、明るさもOK。だけど偶然の変顔をしてしまっている人物写真しか撮れていなかったら、それは撮影としては大失敗です。編集者側からの視点でみると、画質が良いけれど変顔に「なってしまった」人物写真は、使い物になりません。

一方、ライターとしては、本来の「書く」業務とは離れている撮影の仕事を依頼されることになります。スマートフォンの高性能化で、手持ちの機材で簡単に撮れるようになってしまったので、クライアントも「わざわざ専門のカメラマンに頼まないでライターに撮ってきてもらおう」というコスト感覚が働いてくるのでしょう。

ただ、ライターにとって、これは結構負荷の大きな作業です。「ついでに撮ってきて」と軽い依頼をしておきながら、納品時に厳しい評価をしてくるクライアントは少なくありませんから。

初めて、あるいは仕事としての撮影歴が短いライターですと

「写真、頼まれたけどどうしよう…」

こう思うことは当たり前です。

機材がスマートフォンしかない、何を撮っていいかわからない、どう撮っていいかわからない、撮ってみたけれどぜんぜんいい感じにならない。そしてそういう悩みを誰に聞いていいかわからない。そんな方に向けて、即効性の高い対応策をご紹介します。撮影機材はスマートフォンでもコンデジでもレンズ交換式でも大丈夫です。

何を撮影するかクライアントに確認する

その記事で、どんなカットが必要かを、事前にクライアントに確認しましょう。担当の編集者がいるなら、編集者に確認しましょう。
ライターに依頼する側は、記事のイメージを描いているケースが多いものです。
アイキャッチ用、サムネイル用、インタビュイーの笑顔、商品画像、店内の様子
など、特に編集者なら、記事の要素まで構想を描かれているので、具体的な指示をいただけるはずです。

こうした指示をチェックリストにして、スマートフォンに放り込んでおきましょう。チェックリストに便利なアプリはGoogle Keepです。Android用もiOS用もあり、パソコンとも連携できます。

複数の方向から撮る

いろんな角度から

撮影する際には、複数の方向から撮りましょう。お店の外観を撮影する場合でも、正面だけではなく、左斜め前から、右斜め前から、と、異なる方向から撮影します。
人物の撮影でも同様に、正面だけではなく、左斜め前から、右斜め前から撮影します。あるいは、少し斜に構えてもらった撮影もします。
物を撮る場合は、さらに上から、水平レベルから、裏側から、など、360度意識して撮影を検討します。

失敗ショットがたくさん増えても構いません。大切なのは「失敗ショットを撮らない」ことではなく「最高の写真の可能性を高める」ことです。

人物撮影は話しかけながらとにかく数多く撮る

人物撮影は、特に数多く撮影してください。そして、撮影の時には和やかに話しかけることを意識してください。話しかけることによって相手の言葉を引き出すのが目的ではなく、会話中に撮影をすることで自然な表情を撮れる可能性を高めるのが狙いです。

和やかに話しかけることによって柔らかい表情、笑顔を引き出しやすくなります。インタビューをした後であれば、相手の好きなこと、得意なことについて聞いていくことで、そうした表情を引き出すように意識してみてください。

カフェであれば「さきほどいただいたコーヒー、とてもおいしかったです。何か私が家でまねて、少しでもおいしくなるコツってあるものですか?」みたいに聞いてみるといいかも。

あ、本筋とはずれますが、人物撮影を行う場合は、撮影の許可を得ましょう。

数多く撮って「いい瞬間」の偶然を狙う

いろいろな角度から撮る
数多く撮ることで「奇跡の一枚」を狙う手法は、上手になったカメラマンでもやることです。苦手な人ほど強く意識していきましょう。

人物写真は特に数を撮る

人の撮影は難しいです。いいと思っていても目を閉じてしまっていたり、なんか白目になっていたり、瞬間、ひきつった雰囲気になっていたり。たぶん撮影者の反射神経で、それらを避けて撮影するのは無理な話です。

ですから、撮影タイムの時にはバンバン枚数を撮っていきましょう。例えば顔のアップだけでも、正面から10枚、左斜め前から10枚、右斜め前から10枚撮るだけでも30枚。このくらい、多くもなんともない、と思っていてください。写真に慣れていない人ほど、枚数を多くして、より良い写真が取れている可能性を求めていくべきなんです。

店内撮影もいろいろな角度から

カフェの撮影をする場合、一口に「店内」といっても様々な要素がありますよね。カウンター席、テーブル席、テラス席、個室。店内の飾り、小物。テーブル自体、椅子自体。整理されているお皿。ほかにもたくさんあるでしょう。

こういう「要素」で気になったもの。店主のインタビューの中でこだわりを感じたもの。それぞれの撮影をしてみてください。
物を撮るところで説明したように、同じ物でも様々な角度から撮るようにしてみてください。

枚数を絞るのは上手になってからでいいです。うまくないと自覚している人は絞るものではありません。

撮影写真を確認して納品する


写真を何らかの形で納品する場合に、たくさん撮影したものをきちんと見て、人物であれば表情のいいものを選別して納めましょう。

ただし、「表情のいい」の価値基準は人によってそれぞれです。笑顔で親しみを見せたい場合もあれば、きりっとした顔で権威性を見せたい場合もあります。メールで送ったり、クラウドにファイルを置いたりして納品するのであれば「予備写真」みたいな感じでまとめてしまってもいいです。

手振れや別の場所にピントが合ってしまった写真などは、もちろん省いてくださいね。

写真の練習とは別に実践してみよう

複数の角度から撮ろう、それぞれの角度からも複数枚撮って「奇跡の一枚」を狙おう。

誰でもできる最初の特効薬は、これだと思います。

写真の練習は、それはそれでした方が良いとは思います。せっかく同じ機材を使っていても、機材を使いこなせる人の表現力はそうでない人を確実に上回ります。

けれど、それよりなにより、当面なんとかしたい、という場合、ここで説明したことを特に意識してみてください。納品の際のクライアントの満足度が上がるとともに「どういう撮影がどういう結果になったか」を意識することで、自然に撮影の地力も上がっていきますよ。

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