2026年10月、メールアドレスの漏えい(または漏えいの可能性)の公表が相次ぎました。
10月7日、IDCフロンティアのクラウドサービス「IDCFクラウド」がランサムウェア攻撃を受け、495の企業・自治体に影響が出たと発表されました。メルマガなどのメール配信にこの基盤を使っていた事業者からは、会員のメールアドレスが漏えいした可能性がある、という知らせが続いています。JR東日本の「えきねっと」もその一つです。
なお、IDCフロンティアは10月14日の第5報で、対象領域の顧客データについて「外部へのデータの流出はなかったと判断」しています。ただ、利用各社の調査はそれぞれ続いているので、ご自身が会員になっているサービスの発表は個別に確認してください。
こういうニュースが続くと、自分の側でできることは何だろうと考えます。そのひとつが、登録先ごとにメールアドレスを変えておくことです。Gmailなら、設定なしで今日からできます。
Gmailの「+」アドレスとは

登録先ごとにメールアドレスを変えておくこと、と簡単に言ってしまいましたが「え?メールアドレスを何十個も作るの?」と思いませんでしたか? いえ、そうではなく、1つのGmailアドレスで複数のメールアドレスを作れるんですよ。
例えば、Gmailのアドレスが
だとすると、
example+shop@gmail.com
example+news@gmail.com
のように、@の前に半角の「+」と好きな文字列を足したアドレスも、何の設定もせずにそのまま使えます。届いたメールは、すべて元のexample@gmail.comの受信トレイに入ります。
Googleはこれを「メール エイリアス」と呼んでいて、「+」の後ろに使える文字はアルファベット(a~z)、数字(0~9)、ピリオド(.)と案内しています。
Google Workspaceで独自ドメインのアドレスを使っている場合も、同じように「+」アドレスで受信できます(筆者が実際に試して確認しました)。たとえば info@example.com なら、info+shop@example.com 宛てのメールも info@example.com の受信トレイに届きます。
登録先ごとに変えておくと、どのようなメリットがあるのか

登録先ごとにメールアドレスが変わることによって、利便性・安全性など、複数のメリットができます。主なものをご説明します。
漏えい元の手がかりになる
たとえば、ショップAの会員登録には daiji.okuno+shopa@gmail.com を使っておきます。ショップBの会員登録には daiji.okuno+shopb@gmail.com と、+の後のアドレスを分けておきます。
しばらくして、daiji.okuno+shopa@gmail.com宛てにショップAとは関係のない業者から迷惑メールが届き始めたら、どこかの段階でショップAに登録したアドレスが漏洩した可能性を疑えます。登録先ごとにアドレスを分けておくと、こうした「心当たり」を持てるわけです。
ショップAの管理の危険性を知ることができるのと同時に、ショップBに疑いをかけなくて良いことが分かるのもメリットです。ショップBとは引き続き良好な関係を築けるわけですから。
もっとも、これはあくまで手がかりです。漏えいの経路まではわかりませんし、それだけで相手の責任を断定できるものでもありません。気になったら、そのサービスの公式発表や問い合わせ窓口で確認しましょう。
フィルタで自動振り分けができる
「+」アドレスは宛先(To)にそのまま残るので、Gmailのフィルタで振り分けられます。
フィルタを使った振り分け方を説明します。パソコンのGmailから行なってくださいね。
▼Gmail右上の歯車アイコンから「すべての設定を表示」を選択し、「フィルタとブロック中のアドレス」タブを選ぶ


▼「新しいフィルタを作成」をクリックし、「To」に振り分けたい「+」アドレスを入れ、「フィルタを作成」を押します。


▼「この条件でフィルタを作成」をクリックし、ラベルを付ける、アーカイブするなどの処理を選んで「フィルタを作成」を押します。

上記画像は、ショップAからのメールに対し、それと分かるようにラベルを付ける場合のやり方です。そのほか、メールの重要性や用途に合わせて「削除する」「常に重要マークを付ける」など、様々なオプションがあるので試してみて下さい。
1番下の「0件の(件数は変わり得ます)一致するスレッドにもフィルタを適用する」にチェックを入れておけば、過去の同じメールに対しても同じ処理を行えます。
メルマガ用のアドレスは受信トレイをスキップしてラベルだけ付けておく、という使い方も便利です。受信トレイの未読数が少なくなりますし、必要になったときだけラベルを開けば済みます。
受信トレイは一つのまま
僕も以前は、役割ごとにGmailのアカウントを取ったり取り直したりしていました。ただ、アカウントが増えると、そのたびに切り替えが必要です。「+」アドレスなら、いくつ増やしても受信トレイは一つ。スマホのメール設定も一度で済みます。
使う前に知っておきたいこと

+付きのメールアドレスは便利な仕組みですが、あらかじめ押さえておきたい点もいくつかあります。
元のアドレスは隠せない
+以降を消せば、元のアドレスになります。仕組みを知っている人なら元のアドレスをすぐ割り出せるので、「+」アドレスは仕分けと手がかりのためのもの。アドレスそのものを隠す機能ではありません。
「+」を受け付けないサイトもまれにある
メールアドレスを登録するサイトの中には、「+」記号を含むアドレスを受け付けないところもまれにあります。入力してエラーになったら、そのサイトだけは元のアドレスで登録しましょう。
ピリオドは「別アドレス」にはならない
Googleのヘルプによると、@gmail.comのアドレスでは、ユーザー名にピリオドを入れても同じアドレスとして扱われます。example@gmail.com とex.ample@gmail.com は同じ受信トレイに届きます。
一方、会社や学校などの組織でGmailを使っている場合は、ピリオドが入ると別のアドレスとして扱われる、とも書かれています。仕事用のアカウントでは同じようにはいかないので注意してください。
漏えいのお知らせが届いたら

会員になっているサービスから漏えいのお知らせが届いたら、次の点に気をつけておくと安心です。
- お知らせやお詫びを装ったメールにも注意しましょう。メール内のリンクではなく、ブックマークや検索から公式サイトに行って確認するのが安全です
- 迷惑メールが増えた「+」アドレスがあれば、そのアドレス宛てのメールを迷惑メールに振り分けるフィルタを作っておくと、受信トレイが静かになります
- 怪しいメール送信元は、はGmailの「迷惑メールを報告」「フィッシングを報告」から報告できます
メールアドレスが漏洩した、ということは、悪意ある第三者にメールアドレスが渡った可能性があるということです。悪意ある第三者は、乗っ取ったもとの事業者とそっくりのページを作り、アカウント名やパスワードの入力をさせることにより、パスワードを奪うことを狙う場合があります。
情報漏洩が多数発生している今だと、悪意ある事業者が、被害企業を名乗って「パスワードの再設定をお願いします」とやってくるかもしれません。メール起点でパスワードを入力させるケースが増えていますので、うっかり悪意ある事業者に個人情報を追加で漏らさないよう、気をつけましょう。
まとめ
Gmailの「+」アドレスは、設定なしで今日から使える、手軽な自衛策です。漏えいそのものは防げませんが、どこから漏れたかの手がかりを残し、受信トレイを整理しておくことはできます。
次に何かのサービスに登録するとき、@の前に「+」と登録先の名前を足してみてくださいね。
Gmailの「+」アドレスについて、記事の説明として正しいものは?